グラン・ヴァンの世界において「フィネス」とは、きわめて長い歩みの中でようやく手にすることのできる聖杯のようなもの。カロン・セギュールでは、フィネスは礫で形成されたテロワールの地下深くから自然に湧き出てきます。聖なるオブジェが厳しい修行の末にしか手にすることができないことを考えると、優遇されているのかもしれません。それでも、一定の技術とこだわりなくして、そのフィネスを輝かせることは出来ません。

大切なのはまず収穫日の決定です。時間どおりに、果実が適正な熟度に達するのを待って収穫をする… つまり、アロマとタンニンのポテンシャルが頂点に達したまさにその瞬間に摘みとります。

醸造庫での作業に関して、重力式工程の導入は一大改革でした。

ポンプと配管を撤廃することでぶどう果実の保存状態が改善され、果汁はさらに果実感たっぷり、バランス良く優しい仕上がりです。ピジャージュ（櫂入れ）を廃止してルモンタージュ（液循環）を穏やかに行なうようになったことからも同様の効果がもたらされています。

醗酵中は適正温度に調整し、最適なマセラシオン（浸漬）時間を心がけています。絹のようになめらかな口当たり。素材本来の美味しさが生きたワインです。
プレスワインや樽選び、樽のトースティングレベルにはかなりこだわり、ワインにはさらなるエレガンスが加味されます。20ヶ月の育成・熟成期間はとにかく落ち着いた環境でワインを休ませ、時間をかけてゆっくり自然に仕上げていきます。

忍耐づよさと優しさ、これらはカロン・セギュールの二大奥義といえます。その他、誰をも魅了する輝きあふれるカベルネ･ソーヴィニヨン、そして礫質の秀逸テロワール特有のミネラル感... 単純な言葉では表現し尽くせない特長です。